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2019年11月04日
『つたえてください あしたへ・・・・・・』発刊記念交流会~証言と聞き書き 伝え続けた四半世紀とこれか
10月28日、ホテル日航福岡にて、被爆体験証言集『つたえてください あしたへ・・・・・・』第25集の発刊を記念した交流会を開催しました。
1995年の被爆終戦50年の節目に、戦争や被爆体験が風化する中、若い世代に戦争の愚かさ、被爆の悲惨さを語り継ぎたいとの思いでスタートした聞き書き活動は、原爆被害者にその体験談をお聴きしてそれを書き起こし冊子にまとめてきました。その後は年に一回のペースで発刊を続け、今年第25集となり、四半世紀にわたる活動となりました。
発刊記念交流会には、被爆体験証言集の生みの親でもある漫画家の西山進さんをはじめ、これまでに被爆体験を証言していただいた20名と証言者をご紹介いただいた福岡県被爆者団体協議会や福岡市原爆被害者の会の方、証言集発刊にあたり編集や印刷などでお世話になっている方々をお招きしました。
また、今年はじめて募集した聞き書き活動の学生ボランティアに、筑紫女学園大学の学生6名が参加した縁で、筑紫女学園大学の学生約40名も参加。そして25年の間に聞き書き活動に参加した組合員などもあわせ、総勢161名が参加しました。
交流会では、堤理事長の挨拶のあと、第1集の発刊に向けて活動する組合員などの様子をとらえた、25年前の貴重なニュース映像がスクリーンに映し出されました。
来賓ごあいさつでは、長崎での被爆体験をもとにした漫画を描き続け、被爆体験証言集の生みの親でもある西山進さんが登壇。「まさか(証言集発行が)25年も続くとは思っていなかった。最初は2~3集も続けばいいくらいに考えていたが、ここまで続くのは大したものである。この活動は大変意義のある事業である」と発言がありました。
会場内の様子
原爆漫画家 西山進さん
つづいて、筑紫女学園大学の大西良先生から「戦争と児童福祉」と題した基調講演がありました。大西先生は社会福祉学が専門で、その視点から「児童福祉法」の成り立ちが戦争孤児への対策であったこと、学生たちには児童福祉を通じて戦争や原爆について知り、戦争などの話から、戦後日本の社会福祉の歩みについて学ぶということについてお話されました。
福岡県原爆被害者団体協議会の事務局長である南嘉久さんからは「被爆体験の伝承にあたって」と題した問題提起がありました。ご自身も両親が長崎で被爆したことから、被爆者に寄り添い「心の被爆者」としてこれまで活動してきたこと、そして「誰でも原爆や核兵器の実相を学べば、『心の被爆者』になれるのではないでしょうか」と語られました。
後半のパネルディスカッションでは、講演していただいた大西先生にコーディネーターをしていただき、パネリストとして、被爆者団体からは福岡県被団協の中村国利会長、証言者からは第23集でご証言いただいた長崎での被爆者である山口美代子さん、そして聞き書き活動のメンバーでもあり、被爆体験証言をもとにした朗読劇のシナリオを作成している木村桂子さん、エフコープからは第1集で事務局を担当した古後賢二さんの4人にご登壇いただき、それぞれの立場から「戦争そして被爆体験の伝承の意義」をテーマにご発言をいただきました。
筑紫女学園大学 大西良さん
パネルディスカッションの様子
その後、昼食をとりながら各テーブルでは被爆者と学生たちや組合員が自由に交流を行いました。学生たちは被爆者の声に真剣に聞き入りながら、原爆投下時の様子や証言集に掲載されている体験談などを聞いていました。
最後はこれまで証言集の発刊にご尽力いただいた7つの団体・個人の方々への感謝状贈呈式が行われました。感謝状を贈呈させていただいたのは、証言集の生みの親でもある西山進さん、証言者を紹介していただいている福岡県原爆被害者団体協議会、福岡市原爆被害者の会、北九州市原爆被害者の会、証言集の制作・編集をしていただいているデザインルームえふで、朗読劇のシナリオを長年にわたり作成しているエフコープテーマクラブ「たんぽぽのわたげ」、そして第1集から現在まで聞き書き活動に参加している押川智子さん。みなさまに堤理事長より感謝状が贈られました。
発刊記念交流会終了後、参加した学生たちからは「被爆者と直接交流できたことで、より身近に感じることができました」「今後ぜひ聞き書き活動に参加したいと思います」といった声をたくさん聞くことができました。
これから第26集の発刊に向けて、組合員だけでなく学生たち若い世代とも一緒になって、被爆者に寄り添いながら聞き書き活動をすすめていきたいと思います。
各テーブルでの交流の様子
感謝状贈呈式の様子
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