イベント・活動

イベントレポート一覧
- 食・産直
2019年09月09日
熊本の島津牧場(グラスファ―ミング)を訪問し、生産者の方たちと交流してきました
組合員理事 谷口純子
8月30日、組合員理事4名、スタッフ2名で、熊本県人吉市で約50年前から放牧酪農を実践されている島津牧場を訪問し、これからの酪農や集約放牧酪農(グラスファ―ミング)について意見交換を行いました。
「グラスファ―ミング」とはニュージランドの酪農技術を参考にした牧草の栄養価を活用した集約的な放牧酪農をさし、農家の経営的にも、自然環境に関しても持続可能な経営が期待できる方法です。
今回訪問した島津牧場は宮崎県との県境の、険しい山道を数キロ上った標高500m~600mの山地に在り、九州でも数少ない周年野外放牧の牧場です。
その島津牧場に着くと、拡がるなだらかな緑のじゅうたんと、のんびりとした牛たちの群れの光景があり、日々の騒めいた私たちのくらしからは大きくかけ離れた癒しの世界がそこにありました。
その牛たちを遠くに眺めながらの最初の交流会では、先代より牧場を引き継ぎ「グラスファーミング」を守っている息子さんの島津野歩さんより、牧場の概要や経営のお話があり、そのなかで、「将来の夢は第二牧場を持つこと」と熱いお思いで語られていたことが印象的でした。
次にフィールドワークとして、牧場のなかに入り、土の構造、多種にわたる草の品種、その特徴など、グラスファーミング研究会の増田靖さん(熊本県酪農業協同組合連合会)、新井知海さん(コープ九州事業連合)より説明いただきました。直に土や草に触れながら、身近な生態系の仕組みを再認識し、私たちが生きて行く上では欠かせない食物は全てにおいて、自然の恩恵と、消費者には見えない手間暇や工夫、そしてご苦労などを、やはり現場に立たないと理解できないという事を実感しました。
その後の昼食を交えての交流会では、商品開発に向けての活発な意見交換会となり、グラスファ―ミングで生産された乳製品がカタログで早く紹介されるようにと願うところです。
今、日本の酪農は生乳生産量の減少、後継者不足による廃業増が予想されるなど、厳しい状況に直面しています。本来、一般的な酪農は牛舎で行われていますが、放牧による育て方により、低コストや従事者の労働時間改善など、今まで懸念されていた課題を少しでもクリアできる新しい方法として注目されています。北海道では盛んですが、九州では島津牧場の他に数牧場と決して多くはありません。
まだいくつかの課題もあるなか、これからの農、乳業がSDGsの課題達成のキーワードである環境(水・土壌等)、経済(農村地域の経済回復等)、社会(労働環境など)に貢献できる酪農方法であり、TTP発効による5年先10年先の厳しい状況を鑑みるなかで、新たな担い手の創出にもなるのではと期待されているところです。
今回の訪問を機に、生産者とともに未来の酪農へ希望が広がるように、生協としてのかかわり方とともに、まわりにもしっかりとお伝えしていかなければと思いました。
最後になりましたが、島津野歩さんのお母様より、昼食時にはお手製のヨーグルトやチーズ、そしてアイスをいただき、自然いっぱいのおいしい乳製品を堪能することができました。改めて自然の恵みに感謝です。おいしい“おもてなし”をありがとうございました。
Event informationおすすめのイベント情報
情報をおさがしですか?