あしたへ……』には、被爆の記憶とともに、「核兵器も戦争もない未来を次3 本来であれば、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶の先頭に立つべき日本政府は、核兵器禁止条約に今なお批准しておらず、核兵器保有国の意向に配慮する姿勢を崩していません。さらに近年では、防衛費の大幅な増額や「敵基地攻撃能力」の保有といった、軍備拡張に大きく舵を切る政策が打ち出されています。これらは平和憲法の理念を大きく逸脱するものであり、戦争の放棄を掲げてきた国としての根幹が揺らいでいると言わざるを得ません。被爆者の平均年齢は八五歳を超え、直接、体験を聞く機会は限られつつあります。被爆者の「自分たちが生きているうちに、核兵器のない世界を」という切実な願いを、私たち次世代が確実に受け取り、次へとつないでいかなければなりません。私たちエフコープではこれまで、証言集の発刊にとどまらず、平和パネル展、平和募金、核兵器廃絶国際署名、平和の旅など、多様な形で平和を考え、行動する機会をつくってまいりました。戦争を知らない世代が大多数となった今だからこそ、被爆体験を語り継ぐことの意義はかつてなく大きいものがあります。『つたえてくださいの世代へ」という希望が込められています。三〇年にわたって活動を支えてくださった方々、また、この証言集を手に取ってくださったみなさまに、あらためて深く感謝を申し上げますとともに、エフコープは今後も核兵器廃絶と恒久平和の実現に向けて、あらゆる活動を力強く進めてまいります。
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