第30集 つたえてください あしたへ・・・・・・
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これが姉あの最さご後の笑えお顔でした。えながら、我わが子こや孫まの健けう康を心しい配し続つけんとならん。これも地じく獄です。ていけないと思おいました。父ちと母は、姉あと弟と、家かく族四人にが眠ねっている故ふと郷、長なき崎を捨すてたのです。十六歳さの私わ、十三歳さの弟と、まだ十代だだった兄きい弟が身みよ寄りもなく二ふり人きりで生いきていくには、人ひに言いえぬ苦くう労をしました。戦せご後、福ふか岡の筑ちう豊にある飯いか塚の炭たう鉱で働はきました。被ひく爆した時とは元げき気だった老ろん人、子こども、女おの人ひたちが次つぎ々と死しんでいき、姉あも同おじでした。いあ毎まさ朝抜ぬけていく髪かの毛けを気きにしながら苦くしみ、十九歳さの青せん春が終おわりました。姉あの遺いい体は自じん分ではどうすることもできず、山やづ積みされた他ほの遺いい体と一いょ緒に火かう葬されました。大だす好きな姉あだったので、とても悲かしくて仕した方ありませんでした。生いきたくても生いきられない姉あでした。大おい勢の人ひが死しんでいき、生いき残のった者もも身かだ体の変へう調に怯おんそ戦せう争は恐おろしい、人ひの心こを鬼おにします。常じき識なんて吹ふき飛とんでしまうものです。わさょうりくなし敵て上じ陸の話はは噂うで終おわりましたが、もうひとつの噂うはみんな信しじていました。それは『長なき崎はんか今こご後百年ねん間は、草くき木は生はえない』ということでした。私わはこの言こば葉を信しじ、もう長なき崎では生いきたしうじんこんぱころおとうくおんなぎついしゅおぜょうしわさたしおとうょうだくほいづっしがさるさんこたらんちょがさがさ朗 読 者 朗 読 者 ⑮⑭⑬んろいいいたとねちもはぞむんんさんとごづごとにそきんねとのこらびいねかないねがみるいんばきねとなぶねたかまたそ朗 読 者 61

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