どうしようもありません。「もうだめ、様よす子がおかしいよ」そうな永えん遠の別われになりました。和かお雄と私わの二ふり人で、焼やけ残のった家いの板いき切れや木きを集あめ、自じん分たちの手てで火かう葬しようと決けん心しました。け落おちました。弱よっている姉あは、防ぼ空壕の外そに出でて来これず、中なから手てを合あわせていました。十六歳さの少しん年が家かく族の遺いい体を焼やいている。戦せう争とはこんなものです。んな特とに女おの人ひたちはあちらこちらで髪かの毛けが抜ぬけてきたと話はをしては心しい配していました。姉あも髪かの毛けが抜ぬけてきて不ふん安を感かじていました。私わしは少すしずつ元げき気になりましたが、末すの弟とは日ひに日ひに弱よっていきます。医いゃ者もいない、薬くもない、ぶや姉あが呟つき、泣なき出だしました。おとう末すの弟とは被ひく爆後ご一週し間で亡なくなり、小しく学一年ねい生で六歳さでした。線せう香やロウソクもなく、かわいいえうが時じく刻は夕ゆた方です。亡なくなった弟との上うに木きを積つみ重かねたせいか、火ひはなかなか点つきません。何など度も何など度もするうちに、やっと燃もえだしました。ボッと燃もえ上あがる炎ほに頭あの髪かはつるりと焼や私わしたちは地じく獄の中なにいました。たごかぞいたうねそ⑪こえさんんみずかこたつたえぶえばい⑩んたえこしわわねとかみねんあくみとょうねおとうょうがゅうかんっしおとううくうごうなしんせたしんそんぱんこのおたますり朗 読 者 姉の声朗 読 者 59
元のページ ../index.html#63