第30集 つたえてください あしたへ・・・・・・
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です。このころから姉あは弱よってきました。私わも調ちし子が悪わくなり、下げり痢が何など度も続つき「もう、だめだ」と思おいました。「父とさんが家いの床ゆた下の防ぼ空壕に、火かい災保ほん険の証しょ書を瀬せ戸物の筒つに入いれてしまっとったよ」「よし、そんなら取とりに行いこう」この火かい災保ほん険は後のち々、弟とと二ふり人だけの生せつ活にとても助たかりました。けれど、そんな状じい態の中なでも握にり飯めを食たべたんです。このころから歯はき茎から出しつ血、髪かの毛けが抜ぬけるなど、あとで知しった原げく爆症しうの症状が出でてきました。⑨⑧かぎしくぶとみぐょまおちたとぜおたたけさすねわねごたえずもずけえうさとものつねわるづんいいななくめちこいたがつさけ朗 読 者 朗 読 者 和雄の声和良の声うくうごう防ぼ空壕に入はりました。防ぼ空壕とは空くう襲を受うけた際さに避ひん難するため、地じん面を掘ほって作つった穴あぐらとう弟おとの和かお雄が言いったんです。かし私わしは下げり痢がひどくて動うけず、姉あと和かお雄が家いに行いったんですよ。燃もえ尽つきた自じく宅から、父ちの遺いつ骨らしい灰はをかき集あめて、火かい災保ほん険証し書を捜さし出だしてきました。弱よっていた姉あは、この作さう業でさらに無むり理をしたのかもしれません。ちのうけがさ長なき崎の街まの風ふい景は遠とくに遺いい体を積つんだ山やが見みえ、死しんだ人ひの臭にいが風かに乗のって伝つわりました。ょうた後あになって自じん分を含ふめて人にん間の精せん神の異いう常さに驚おきました。うしゅうくうごううくうごうぎょおとうんげいしゅっけたしょうょうしいかじょどろょうしょしょうじょうんば58

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