これが、原げし子爆ばん弾だったのです。四、〇〇〇〜五、〇〇〇度どといわれる熱ねん線を全ぜん身に浴あびました。「うわあぁーーっ!」あがりました。しかし、なぜか無む意識のうち、倒たれるように私わは地じん面に伏ふせたのです。そして、体かの上うを猛も烈れな爆ばう風が襲おってきて、その凄すまじさに私わは恐きふ怖を感かじてふるえました。かすかに開ひいている右みめ目に見みえたのは、一いん瞬にして街ま全ぜい体が消きえてなくなってしまった光こい景。それは、たった一発ぱの悪あま魔の殺さん人兵へき器によるものでした。がれきの中なに黒くこげの死しい体が、ゴロゴロといたる所とに転こがっていたのです。もしあの時と、そのまま伏ふせずに突つっ立たったままでいたなら、私わも目めの前まに転こがるたくさんの死しそれから約や四時じん間、私わは死しの街まと化かした長なき崎をさまよい歩あきました。途とう中、見みし知らぬおばさんが、「学がい生さん!服ふに火ひがついて、あんた体かが燃もえてるよ!」おばさんは、そう言いって手てで火ひを払はって消けしてくれました。くだだりゅんか叫さんだ瞬しん間、左ひめ目がつぶれ、両りて手両り足が真まっ黒くに焼やけただれ、両りて手の先さの指ゆがないほどに腫はれ変かわり果はてた自じん分の姿すに「ああ、俺おはこれで死しぬんだ」と、子こどもながらに死しを覚かご悟しました。くふくふ爆ばう風が去さり、何なとか、ゆらゆらと立たち上あがりました。地じく獄のような有あり様さでした。体たの一ひつになっていたことでしょう。私わしに駆かけ寄よって来きました。くせょうょうあしがたつじたしらだたしょうたしっしゅんたころがさっせんしょうたしちゅらだうけ実の声⑥⑤たろかろたくらかちくるいときえろつくいんさそんぎらちごまんろけきびれぶくきおいしめえうつ朗 読 者 朗 読 者 おばさんの声48
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