第29集 つたえてください あしたへ・・・・・・
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土どて手についた途とん端、孫まの物もや仏ぶん壇の位いい牌を取とりに帰かると、おばあちゃんが言いうんです。んた母はがものすごく反はい対して、やかましく言いったんだけど聞きかんで、引ひき返かしたんですよ。がた祖そぼ母の姿すを見みたのは、これが最さご後でした。途とう中、火ひの海うですから、結けく局、自じく宅の防ぼ火用水すう槽に頭あまを突つっ込こんで死しんでいたらしいです。残ざん念でなりませんでした。たしわぎ川かし岸のあちこちから人ひの声こが聞きこえました。母ははおじさんに「乗のせてあげて」と、頼たんだようです。しかし、おじさんから言いわれたんです。じょ死しんでしまう。無むう情のようだけどね。心こを鬼おにしなさい」したが母はもそれに従ったから、今いがあるんです。おじさんの決けん断が凄すいです。私わしたちは川かの中なほどに四、五時じん間いました。めろろめかわたかにまはごすすきされとえねのはいずずぼぶんかぶこなずとばとた⑧きさきさやがわたぶたはえいみたんかがはのごたえどこもここも火ひの手てが上あがり、私わたち四人にはすぐ近ちくの太お田川に逃のれたんです。 私わしたちが川かに逃のれると、近きょ所のおじさんが小こね舟に乗のって呼よんでいたんです。「佐さ々木さーん、佐さ々木さん、早はくこれに乗のりんさい」そこは被ひく爆した人ひ、水みを欲ほしがる人ひ、死しい体がゴロゴロです。そんな中な、私わたち三人には小こね舟に乗のせてもらいました。小こね舟は底その一部ぶが焼やけて、穴あが空あいていました。水みがどんどん入はってくるので、泣なきながら水みを出だしたのを覚おえています。「乗のせろ〜、乗のせてくれ〜、その舟ふに乗のせてくれ〜」「佐さ々木さん、ここはね、助たかるもんだけが助たからんといけん。誰だもかれも乗のせたら、みんなしばらくして黒くい雨あが降ふってきて、その黒くい雨あに打うたれました。たしつだんじおたがわちゅんねころつだっきょうかよういそ朗 読 者 おじさんの声別の人の声おじさんの声36

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