第28集 つたえてください あしたへ・・・・・・
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私わしの住すんでいた白はま島に長ち寿園という立りぱ派な公こん園がありました。桜さの木きが三〇〇本ぽぐらいあったさかな泳おぐ人ひ、魚釣つりする人ひ、遊あびに行いく子こどもたちは兵へい隊ごっこをしたり賑にやかでした。うえんたいさょうぼ警けつ察も消しう防も軍ぐい隊も全ぜつ滅ですから、助たけてくれる人ひは誰だもいません。ょくんば原げく爆の直ちご後から、街まは一いん面の焼やけ野のら原でした。二、三日に目めに、広ひま島の周まりから、戦せう争に行いけないせいへいんごへい医いゃ者がその看か護兵を二ふり人連っれて、三人にで来きたんです。んそ赤あん坊ぼや子こどもらも、助たけたいけど助たけようがないんです。けれど縫ぬうた跡あは全ぜん然ないですよ。血ちが出でたら、死しんだ女おの人ひのもんぺをちぎって、包ほい帯の代かわりに括くっておくだけです。でしょう。花はみ見の時とには茶ちせ店も出でて、みんなそこに行いきましたよ。この公こん園は避ひん難所じで、ここに逃にげるという事こになっとりました。それが八月が六むか日、原げく爆の時とには逃にげきれずに死しぬ人ひがいっぱいいました。やっと辿たり着ついた人ひも、片かっ端ぱから死しんでいったのです。いようなお年とよ寄りの医いゃ者が来きました。若わい医いゃ者は戦せう争に行いっているんです。その頃こ、衛え生兵と言いっとりましたが、看か護兵ですよね。けれども、助たけるというても何なもありません。火やど傷の薬くといっても、チンク油ゆを塗ぬる程てど度です。そのチンク油ゆも、あっという間まに無なくなってしまう。だから戦せう争の役やに立たつような人にん間だけを助たけるんです。もう死しにかけとる人ひは、それで終おわりです。ひどい話はですよ。んぜくしょうじゅえんゃみんばんめちめんげうえいたんそんごへいすりなしんなくらろしうたんそ朗 読 者 朗 読 者 31⑦⑥ょなときいつとたとどしすとれすうかすとくすにすけいたしんろししかしはちちわととよそぎきなったんくとと

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