第26集 つたえてください あしたへ・・・・・・
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飛とばされて地じん面に叩たきつけられました。鼻はも切きっております。血ちだらけになりますよ。けれど縫ぬうた跡あは全ぜん然ないですよ、私わの膝ひ、これを見みてください。誰だも縫ぬ血ちが出でたら、死しんだ人ひの女じい性のもんぺをちぎって括くっておく川かに逃にげた。熱あい、全ぜん身火やど傷してますから、火やど傷でずるむけ家いの下しじ敷きになった人ひ、「助たけてくれ」って。子こどもは「お母かちゃん、助たけて」、親おが下しじ敷きになってる人ひは、子こどもがとにかくいろんなものが飛とんできました。だからいたるところを切きってる。私わは全ぜん身怪けが我だらけ、頭あも切きっております。うてない。そんな縫ぬうたりするようなことはないんですよ。だけ。そういう状じい態です。が流なれてますが、皆み、こういう所となんかは京きと都あたりの料り亭てじゃないですけど、川かに突つき出だしたようにして料りり理屋やがあったり、家いがあったり、人ひが住すんどったりしたんですが、爆ばう風で家いともども川かに落おちてしまうか、逃にげ場ばを失うった人ひが皆み、ですから、そういう人ひは死しんでしまいます。腰こが砕くけたりした人ひはそこで倒たれたまま。火ひが回まってきたら焼やけ死しにます。たしんぜょうたろし当とじ時、広ひま島には七つの川かが流なれていたんですよ。七つの川かんしたやすあとすとたえおとわすと っすれとしだどとたしけつわけわえとなとえきいつとょじとまわ がわうわながいもととゅよよと7とくぎそきなんっざとれんっな じっやま わわためんあんしたまたしょせころょうょうょうくふしな「お母かちゃん、何なとか出でておいで」とか言いうても、母はや親は「もう私わはだめ、火ひが回まってくるから逃にげなさい」って、おわり。そういう状じい態でどこに行いくかというと、皆みな の三みつあるんですが、一番ばいいのがこの長ち寿園。桜さの木きが三〇〇本ぽぐらいはあったでしょう、立りぱ派な公こん園がありました。お花はみ見の時とにはみんなそこに行いきましたよ。ぼんぼりがついて茶ちせ店も出でて賑にやかなとこでした。そこに遊あびに行いく子こどもたちは―私わもそこで泳おいだんですが―泳おぐ人ひ、魚さ釣つりする人ひ、子こどもを背せお負って子こり守をしたりする人ひ。戦せう争中ちうですから子こどもたちはヤーヤーって兵へい隊ごっこしたり、あるいはれが八月が六むか日の時とには、逃にげおおせずに死しぬ人ひがいっぱいいました。ようやくここに辿たり着ついた人ひも、片かっ端ぱから死しんでいくわけです。誰だも助たけてくれません。警けつ察も消しう防も軍ぐい隊もたしょうたうえろし広ひま島に三みつ公こん園がある。比ひ治山公こん園、長ち寿園、大おば芝公こん園ゃみたしんたんしゅ軍ぐい隊が来きて演えう習をやったりしました。白はま島の人ひには今いで言いうなん避ひ難所で、ここに逃にげることということになっとったが、そんめ全ぜつ滅ですから、助たけてくれる人ひはいません。ょくんば原げく爆直ちご後の三、四よか日、一週しん間は、とてもじゃないひどい話はうえいたくしゅうかはお川かに飛とび込こんだ。ょうじゅえんおしうえょうじゅえんくらうえかなんそょうぼいさんたなし
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