第26集 つたえてください あしたへ・・・・・・
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持もってきた毛もふ布や布ふん団を私わたちにかぶせ、いつ火かじ事が起おこっ熱あいのか冷つたいのかも分わからない熱ねう風が押おし寄よせてきて、汗あいます。 「早はよー入はっておいで、早はよー入はっておいで」とおばあちゃんが言いうので、草くと木きと嫌いな匂にいが立たちこめる中なで、土どま間にべたーっと伏ふせをしました。おばあちゃんは、どこからかても良よいように貯ためていた水みをザーザーッとかけてくれました。私わたちは、「お父とさん!お母かさん!」と泣なきながら、きょうだいでしがみついていました。おばあちゃんは孫またちを守まらんといけんと、煤すだらけになりながら水みをかけてくれました。とにかく色いろ々な匂にいが一いょ緒くたになり、匂にいと煙けと怖こさと、と涙なと汚よれでぐしゃぐしゃになりました。妹との顔かを見みた私わは、「顔か、洗あっておいで」と言いいましたが、「お姉ねちゃん、顔か、洗あう場ばょ所無ないよ。」って…。水みも、洗あう場ばょ所もないのです。ガラス戸どが倒たれ、家いの中なに上あがれる状じい態ではありませんでした。私わたちはおばあちゃんのおかげで怪けが我はなかったです。たしろいみだたむくふ家いは傾かき、爆ばう風で棚たにあったものは全ぜぶ部壊これました。襖ふや なえんわずしらしかえおらおえおらごおめつせ おおわろこちちもえちまく えちるえおたとましとすずっごもまやさなかれうあずめとうびうまれろいうんおええいいやさかお んえはかごはるずたたたしたしっしっぷいもうょうたむりたしすまと建たの物の中なにいたそうです。母はも怪けが我はしていませんでした。その日ひの夕ゆた方、家いから二分ふもかからないところにある防ぼう空ちゃん、来きて、来きて!早はよ来きて!」と言いうんですよ。どうしたのかなと、行いってみると、「見みて、見みて、見みて!」と、城しえる炎ほの明あるさが稲い佐山を乗のり越こえ、本ほう当に綺きい麗でね。「みんな来きて!もう敵てき機もいないから、みんな来きて!」と私わもつですね。後あから、浦うみ上が燃もえていたことを聞きいて、浦うみ上のいとこや親しき戚が亡なくなったことを知しりました。遺いい体も見みつかりませんでした。その日ひの夜よ、父ちが帰かってきました。家いからさほど遠とくないだと思おいます。父ちは、怪けが我をして帰かってきました。頭あに真まったけ母はは畑は仕しと事に行いっていて、お昼ひごはんを食たべるためにみんなてもうが壕ごへ行いきました。五歳さだった二番ば目めの妹とが大おきな声こで、「姉ね山やの方ほを指ゆ差さし、「ものすごく綺きい麗よ」と言いうんですよ。燃ものお言いったんです。山やを越こして見みえたその景けき色は原げく爆の印いう象の一ひんせたらつびうせうじょ三みし菱造ぞん船の工こう場で働はいていた父ちは、鉄てう砲の弾たを作つっていたんうた白しの包ほい帯をして、ずっと傷きと跡が残のっていました。私わは、父ちがいに亡なくなるまで毎まち日、傷きの手てあ当てをしました。「痛いい、痛いい」いもうんとらかっぽずあうくたしんしょんばらかたまたし17

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