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トコさんの、「子育ては、ほったらかしでいこう!」 第1話

2019年02月01日

元気いっぱいの明るいキャラと辛口のコメントが人気のコラムニスト・トコさん。執筆活動の他にも、タレントとしてテレビやラジオを中心に活躍中です。

そんなトコさん、2人の息子の母親として専業主婦をしながら子育てに追われていた頃、ある時期を境に徹底して子どもを“ほったらかし”で育てることを決めました。40歳を目前にして仕事を始め、時を同じくしてシングルマザーに。波乱万丈な日々の中で実践した、トコさんの「ほったらかし子育て」のあれこれ、2話にわたってご紹介します。

自分のすべてを捧げた長男の中学受験

トコさんの息子さんは現在、35歳と33歳。長男はアメリカと福岡で会社を経営し、次男は俳優や映画監督などの仕事をしています。

次男が中学に入るまでは専業主婦で子育てをしてきたトコさんですが、もちろん最初から子どもを“ほったらかし”で育てたわけではありません。

25年前、長男が10歳、次男が8歳の頃のトコさん。「まだこの頃は、お子さんにあれこれ口を出していた」とのこと。


トコさん:
「子どもたちが幼稚園に入園する前までは、親子で1日中家にいるので、私も子どもにべったり。考えることといえばほとんど子どものことだけだし、当時は育児のストレスもあって息子たちをガミガミ叱ることもよくありました。

そんな中、転機が訪れたのは、長男の中学受験の時。私は自分が希望する中高一貫校にどうしても彼を入学させたかったので、毎日毎日、車で学校や塾の送り迎えをしたり、息子の生活を最優先したりと、自分や家事の時間を犠牲にして、息子にほぼすべてを捧げていました」

受験の失敗で、虚しさが押し寄せる

トコさん:
「ところが、長男はその学校にあっさり落ちてしまったんです。その時私はバスタオルが絞れるくらい泣きましたよ(笑)。でも、当の本人は『別にいいじゃん』みたいな感じでケロッとしてる。『自分が行きたくて受験したわけじゃないし』ぐらいの軽い気持ちだったんでしょう。

で、ふと我に返った私は虚しさでいっぱいになりました。『息子のためにここまで一生懸命やった自分は何だったのか』って。
親がこれだけ必死になっても、子どもがそれに応えるわけではない。だったら今までみたいに子どもに口うるさく言ったり、世話をやいたりするのはもうやめよう、と」

ついに“ほったらかし育児”を宣言

その後トコさんは、『私は私の人生を歩きます』と大胆な“ほったらかし育児”を宣言。以降の子育ては、それまでとは180度変わりました。

トコさん:
「ほったらかそうと割り切ってからは子どもたちを叱ることもやめましたし、『勉強しなさい』とか『早く明日の支度をしなさい』など、親が普通に子どもに言うようなことは一切口にしませんでした。
息子が『塾に行きたくない』と言えば、『じゃあ休んじゃえば』。『今日帰りが遅くなる』と言えば、『私は観たいテレビ番組があるから』とタクシー代を渡す。極端かもしれませんけど(笑)、そういうふうに徹底して“ほったらかし”を実行しましたね」

子どもを見守りながらほったらかす

ただ、「ほったらかし」とひと言で言っても、もちろんそこには、トコさんの子どもへの愛情がいっぱい詰まっています。

トコさん:
「大事なのは、常に子どもを見守りながらほったらかすこと。
例えば子どもが夜、次の日の学校の支度をしないまま寝ようとしますよね。その様子を見ていた親は当然、『明日の準備をしてから寝なさい!』と言いたくなる。でも、絶対にそれを口には出しません。
案の定、朝になって子どもはバタバタ準備をして学校へ行き、忘れ物をして先生に叱られる。親からしてみれば、『ほらやっぱり!』という感じです。でも、それでいいんです。

先生に叱られて初めて子どもは、前の日に学校の準備をする意味を知ることになります。『ちゃんと準備をしないと、自分が困る』ということを経験して、初めて実感するんです。親の方が先生に叱られるのを恐れてあれこれ口を出しても、子どもは『お母さん、うるさいなぁ』としか感じません。子どもってそんなもんですから(笑)」

やりたいことは何でもやらせる

トコさん:
「ほったらかしを決めてからは、子どもが自主的にやりたがることは時間や金銭が許す限り何でもやらせました。『ゲームをしたい』と言えば嫌になるまで徹底的にやらせる。『習い事をしたい』と言えば通わせるし、途中で「やめたい」と言ったら『どうぞ』とやめさせます。
ちなみにゲームは、最初は熱中していたものの、しばらくすると飽きてしまったのか、ほとんどやらなくなりました。習い事だって、やってみないと自分に合っているかどうかなんてわからない。合わないと思ったらやめたっていい。私自身、コラムニストの仕事を始めるまでは、あれこれ挑戦してみましたよ。子どもだって一緒です。

子どもが、親からの指示やすすめではなく、自分の意思で自分のやりたいことを見つけること。実際にやってみて、それが自分にとって本当に好きなことなのかそうでないのかを自分で判断すること。それって、子どもの主体性を育む上でとても大切なことだと思います」

趣味や仕事に熱中し、自分の時間を作る

けれども、子どものことに口出ししないというのは、いざ実行となると親にとっては相当高いハードルなわけです。

トコさん:
「子どもをほったらかすためには、子どもになるべく目がいかないよう、趣味を持ったり、自分の時間を作ったりすること。仕事に集中するのもいいでしょう。そういう時間がないと、子どもばかりに目が行ってしまうんですよ。
私が離婚した時、息子は中学3年生と中学1年生。3人での生活が始まった時、すでに私は仕事を始めていたので、それこそ息子たちに構っていられませんでした。朝早く家を出たり、深夜に帰宅したりの時期が長く続いていましたし。

そして、大事なのは子どもたちをしっかり信じること。
息子たちの高校の三者面談の際に、先生から言われたことを今も覚えています。
長男は成績が振るわなかったことから、『大学受験より卒業することが先決ですね』と言われたんです。私は『どうぞ留年させてください』と答えました(笑)。本人のやってきたことの結果ですからね。でも、その後長男は、自分から『予備校に行きたい』と言い出し、結果的に東京の有名私立大学に軒並み合格しました。

進学校に通っていた次男は次男で、将来漫画家になりたいと先生に告げたらしく、先生は『進学もせずに漫画家になるって言ってますよ。どういうことですか?』と半ば呆れ顔で私に訴えてきました。
その時も『漫画家の何が悪いんですか!?』と逆に先生に反論しました(笑)。なりたいものがあるなら、それに向かって頑張るのが一番。そう思っていましたから。

私は、子どもたちがやってきたことや、これからやろうとしていることを否定したくなかったし、子どもの将来を親や先生が決めるべきではないと思うんです。だからこそ、何があっても彼らは大丈夫だと信用すべきだと考えていました。もちろん不安はありますが、とにかく子どもを信じること。そんな親の思いは不思議と子どもに伝わるものです」

“ほったらかし育児”は小学校以降から

トコさん:
「ちなみに、ほったらかし育児を始めるなら、子どもが自分である程度の日常生活ができるようになる、小学校以降ぐらいがいいでしょう。
『ほったらかす』といっても、人の嫌がることはしないとか、あいさつやマナーはきちんとするとか、基本的な社会的ルールに関しては常に口うるさく言っていましたね」

子どもを信じ、しっかりと見守りながら愛情を込めて“ほったらかす”。そんなトコさんの育児は、結果的に子どもたちの自主性を育み、2人の息子さんはそれぞれ自分の才能を生かした専門分野で活躍しています。2話では、そんなトコさんが若いお母さんに伝えたい「子育ての極意」についてお聞きします。

編集:神代裕子 文:丸山砂和 写真:川上信也

Profile

トコさん
コラムニスト、タレント。福岡県出身。結婚後16年の専業主婦を経てコラムニストに。現在はコメンテーターとして「アサデス。」(九州朝日放送)、「めんたいワイド」(福岡放送)などにレギュラー出演中。著書に『ぶっちゃけ風水デイズ』(梓書院)、『トコ流ほったらかし育児術』(メイツ出版)など多数。近著に『おひとりサマンサ ふわーっと楽しく生きてます』(西日本新聞社)。
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