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料理家さんの、気負わない食育 第1話

2018年04月02日

福岡を中心に、食の世界で幅広く活躍している料理家の広沢京子さん。4月に小学校3年生になるひとり息子・楓(かえで)くんの母親でもあります。わんぱく盛りで、育ち盛り。忙しい毎日の中、広沢さんはそんな楓くんと食を通してどんなふうに向き合っているのでしょうか。広沢さんの考える“食育”について、3回シリーズでお伝えします。

子どもに良しあしを伝えるときは、できるだけ肯定的に

雑誌などでも拝見する広沢邸。撮影にもよく使われるだけあってとっても素敵なキッチンです!

いつお会いしても明るく気さくで、私たちを元気にしてくれる。
そんな広沢さんは、「“料理家”とはいっても、全然『これは食育!』と意識してるわけではないんですけど…。そしてそんなにちゃんとしてません(笑)」と前置きした上で、まずはこんなふうに語ってくださいました

広沢さん:
「母親って、つい子どもに『これを食べちゃダメ』『あれはダメ』って、否定的な言葉を使ってしまうところがありますよね。でも、できるだけ『こっちの方がおいしいよ』とか『これを食べたら元気が出るよ』って肯定的に話すように心掛けています。

楓も『何で?』『どうして?』と聞いてくる年ごろになったので、その理由も『この野菜はイキイキしてるね』とか簡単にでも説明するようにしています」

ファストフードも作ってみる

同年代の多くの子どもがそうであるように、楓くんも、おまけ付きのハンバーガーやピザなどのファストフードに興味津々。ママにおねだりすることも少なくありません。

広沢さん:
「たまにはいいと思いますよ。でも、『ファストフードばかり』となるのはどうかなぁと思うので、市販のハンバーガーが食べたいと言ったら、『じゃあ、おうちで作ってみようか』『そのほうが楽しいかもよ』って提案したりもします。

手作りのものに興味がわくように促すんです。ハンバーガーもポテトもピザも、家でも作れるんだよってことを教えてあげたいし、家庭の味を覚えてほしいというのもありますし。

ただ、夫と楓で出掛けた時はファストフード店にも行ってるみたい(笑)。たまには行きたいのだろうから、それはそれでいいかなぁと」

子どもの食に完璧を求めたり、神経を使いすぎたりしない

一方で、広沢さんは、食に対してあまりストイックになりすぎないようにもしています。

広沢さん:
「親があまりに神経質になると、大人になって好みが偏ってしまったり、子どもの頃に抑圧された反動が出たりするんじゃないかと思って。

ただ、調味料や油、食材を選ぶ基準は、自分の中でしっかり決めている部分もあります。それを、『こうでなくてはいけない!』と掲げることはしませんが、やっぱり”おいしい”とか”素材の味を引き出してくれる”という点で信頼しているものはありますね」

すぐに作れる“パパッとおやつ”のレパートリーを持とう

広沢さん:
「子どものおやつも『できるだけ手作りしなきゃ!』と思う方もいるかもしれませんが、私は手作りすることが重荷にならないくらいの気軽な感じでいいかなと。

わが家でも市販のおやつも買いますよ。ただ、たくさんを買い置きはしていません。その時になければ、簡単にパンケーキを焼いたり、お芋をふかしたりたり、焼きおにぎりをつくったり。

『お菓子はないから、今日のおやつはこれだよ~』と、親が食べさせたいものへ誘導できたりもしますしね(笑)」

「買い置きしない代わりに、簡単にできるおやつをパパッと作る」という広沢さん。

そんな“パパッとおやつ”のために広沢さんが常備しているものの一つが、白玉粉。楓くんにおやつをねだられたら、「じゃあ、お団子作ろっか」。で、ふたりでキッチンに。

白玉粉と水を混ぜ合わせて、耳たぶよりちょっと固めに練って丸めて茹でるだけで完成。

広沢さん:
「白玉団子ってすごく簡単ですぐできるのでおすすめです!メイプルシロップをかけたりきな粉をまぶしたり、果物の缶詰と合わせたり。アレンジが効いて、子どもと一緒に作れるのもいいですね。

『手作りするぞ!』と頑張らなくても、果物にヨーグルトをかけるだけでも、立派なおやつになりますよ」

大人になって恥じることがないよう、食べ方のしつけは厳しく

子どもの食にストイックになりすぎない。そんな広沢さんですが、食べ方に対しては厳しくしつけているそうです。

広沢さん:
「お茶碗やおはしの持ち方とか、食べ方とか。大人になって恥ずかしくないよう、そういうことはきちんとしつけておきたいですね。息子にはご飯とみそ汁は残さないよう、いつも口をすっぱくして言っています」

子どもをがんじがらめにせずに、できるだけ同じ目線で向き合う。とはいえ、厳しくするところは厳しく。

広沢さん:
「息子には、食に対する情報があふれる今の世の中で、自分の目で良しあしを判断する力をつけてほしいと願っています」

そんな広沢さんの“食育”、次回は子どもにいろいろなことを経験させる大切さについてお聞きします。

文:丸山砂和 撮影:音𣷓潤一

profile

広沢京子(ひろさわきょうこ)さん
料理家。千葉県出身。フードスタイリストのアシスタントを経て独立。2009年より活動の拠点を福岡へ移し、レシピ制作、スタイリング、イベント、飲食店のプロデュースなどを幅広く手がける。生産者と家庭の食卓をつなぐ活動に力を入れている。著書に『家だから、いっぱい野菜』(幻冬舎)、『こうかん、ぶつぶつ』(millebooks)など。

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