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行正り香さんインタビュー 「わが子を、強くたくましく育てるために」第1話

2018年06月01日

食にとどまらず、インテリアや教育にも精通し、エッセイストとしても人気の料理研究家・行正り香さん。学生時代に身につけた語学力を発揮して英語学習のアプリ開発などにも携わり、この春には『ビリからはじめる英語術』(新泉社)を出版しました。

働く女性としての魅力にもあふれる行正さんは現在、15歳と12歳の二人の娘の母。ブログやエッセイでもたびたびテーマにしているわが子との向き合い方や、これからの時代に不可欠だと語る英語力について、3回シリーズでお聞きしました。

子どもにできるだけ多くの生き抜くための術を

行正り香さんはブログやエッセイで、子どもとの日常やエピソードなどについてユーモアたっぷりに綴っています。思春期にさしかかる二人の娘さんへの子育て、その秘訣とは?

行正さん:
「子育てって何が目的かを考えると、私の場合、娘たちが大人の女性としてちゃんと自立できるか、将来、自分の身の丈に合った生活をどれだけ楽しめるかということに尽きますね。『人から好かれる人になってほしい』など、子どもたちにどんな人間になってほしいかというビジョンを最初に決めて、常に『そうなるために、私は彼女たちに対して何をすれば良いか』と逆算して考えます。

娘たちが義務教育を終える18歳になるまでに、できるだけたくさんの知恵や術を身につけてほしいと思います」

子どもの“できる”部分を、見つけて伸ばす

行正さんは、高校生の時に成績がふるわず、かろうじて得意だった英語の発音に目をつけたお父さんのすすめでアメリカに留学されています。その経験が子育てに生かされている部分はあるのでしょうか。

行正さん:
「『子どものいいところを伸ばす』という私の親のポリシーは受け継いでいるかもしれませんね。ホントに私は高校時代、勉強ができなくて(笑)。『英語の発音だけはかろうじてマシだね』と先生に言われたことで、父が留学をすすめてくれました。『帰ったら近所の子どもに英語を教えられるぐらいにはなってこい』と。結果的に、今では英語で和食を紹介するテレビ番組に出たり、英会話のビジネスに携わったりと国際的な仕事のフィールドを見つけることができています」

子どもの好きなことが、生きる力になるように

行正さん:
「日本には受験システムがあって、多くの親はそれにとらわれてしまいがちです。でも、生き方の選択肢はいろいろあっていい。子どもにはたくさんの可能性があります。その子にとって得意なこと…得意分野がなければ“マシなこと”で十分。そういうところを親が見つけて伸ばしてあげるんです。先ほど話したように、私には得意なことが何もなく(笑)、唯一マシだったのが英語の発音だったわけで。

自分が好きなことをやれる力をつけてさえおけば、どんなに辛いことがあってもそこから何度でも再生できると思っています」

子ども自身に、選択する力をつけさせる

行正さん:
「わが家も、4月に高校1年生になった長女はアートがとても得意で、将来はアートの道に進むことを希望しています。親としてその思いはもちろん尊重するけれど、絵だけで食べていくのはきっと難しい。そう伝えた上で、『でも絵だけじゃなくて、英語とパソコンのスキルを学んでおけば、絵につながる仕事の幅もグッと広がると思う』とアドバイスしました。さらに『自分で調べて、他にこうしたいとかこうしたほうがいいと思うことが見つかったなら私に提案してほしい』と伝えています。

子どものことを、何もかもを親が背負って、常に正解を出してあげることはできません。親としてアドバイスはしますが、子どもには、自分で考えて選択していく力をつけてほしいですね」

お金のやりくりも、生きていくための大事なスキル

行正さんは子どもたちに社会を生き抜く力をつけさせるために、他にどのようなことを教えているのでしょうか?

行正さん:
「わが家は、お小遣いも『働いて得るもの』として教えています。家の手伝いや私の仕事のお手伝いをお願いした時は、ちゃんとアルバイト代を払うようにしています。

また、生活費をやりくりすることを覚えてほしいので、娘たちにはそこで得たお金で、自分の欲しいものだけでなく、洋服や靴下といった生活に必要な物も買うようにさせています。お金は働くことの対価として得るもの、お金はやりくりして使うもの、ということをできるだけ早くから身につけてほしいからです」

子どもは神様の授かりものではなく、“預かりもの”

進路やお金の使い方。お話を伺っていると、行正さんは、常に子ども自身の考えを尊重しているのを感じます。

行正さん:
「娘がまだ2歳になる前のことです。私が仕事で失敗して、落ち込んで布団の中にうずくまっていたら、『大丈夫よ。いい子いい子』って言いながら頭を撫でてくれたことがあったんです。まだろくに話もできない年頃だったので、本当に驚きでした。何も言わなくても、子どもは理解している、そう実感しました。

親の方が子どもより偉いなんて、とんでもないです。親にできなくても、子どもにできることはたくさんあります。だから、親と子は常に同等ーもちろん、間違ったことをしたら叱るのは親の義務ですがーそう思って毎日子どもたちと接しています。

子どもは神様の授かりものではなく、『預かりもの』。いずれは社会に返さなくてはいけないのです。そのための力を身につけさせてあげるのが親の務めだと思っています」

「子どもには、生き抜いていくために必要な知恵や術を身につけさせてあげたい」と語る行正さん。第2話では、その中でも特に行正さんが、これからの時代に必要だと感じている「英語力」についてお話をお聞きします。

編集:神代裕子 文:丸山砂和 写真:川上信也

プロフィール

行正り香(ゆきまさりか)さん
料理研究家。福岡市出身。高校時代にアメリカに留学後、帰国して大手広告代理店に勤務しながら料理本を出版。退職後は料理研究家となり、テレビや雑誌などで幅広く活躍中。現在は英会話学習にも力を入れ、英会話教室の運営の他、英会話アプリ「カラオケEnglish」なども手がける。『19時から作るごはん』『行正り香のインテリア』(ともに講談社)など、著書は50冊以上。また、献立づくりの悩みを解決するアプリ「今夜の献立、どうしよう?」でレシピ提案やコラムや料理のコツを動画で配信している。行正り香さんのInstagramはこちらから。

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