コラム

アレルギーっ子の子育て 第8話:主治医との出会い

2019年03月20日

小麦と卵の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎にぜんそく。3つのアレルギー症状を抱えた息子を育てあげたお母さんの奮闘記と先輩ママとしてのアドバイスです。


 

アレルギー疾患はすぐに治るものではなく、この治療をすれば治るというものでもない。食事やスキンケア、薬などについて先生に相談しながら、治療していくものだと思う。症状を抑える一方で、生活の質を確保するにはどういった方法がいいのかと、親は悩みながら日々の生活を送っている。
中には、いつまでたっても症状が改善しない不安から、病院を転々としたりいろいろな先生に診てもらったりして、治療方針が決まらず、症状が悪化する人たちもいた。

そんな先の見えないアレルギー疾患でも、子どもの症状や生活の不安、治療に対する質問など何でも聞くことができて、患者の声に真摯に答えてくれる先生が担当だったら希望がある。私は幸いなことに、2人の医師に随分助けてもらった。

1人は、息子がぜんそくで入退院を繰り返していた時のK先生。ひげを生やした体の大きな方で、息子も懐いていた。先生が非番の際に救急で入院した時は、出勤された朝一番に「大変やったね」と息子の病室に来て声を掛けてくれた。息子が入院中は、私は子どもと一緒に1つのベッドで寝て、ずっと付き添っていたので「お母さんが大変ですね」といつも気にしてくれていた。

食物アレルギーに関しては、K先生の上司でもある、女性のS先生に診てもらっていた。S先生は、古くからアレルギー教室を運営し、研究をしている先生だった。
この2人の先生が、息子にとってより良い治療ができるように話し合ってくださり、ぜんそくはK先生、アトピー性皮膚炎や食物アレルギーはS先生に診てもらって、それぞれ薬をもらっていた。

息子が10カ月の頃、ぜんそくで入院していた時に中耳炎になった。耳鼻科の先生が不在だったため、院外の耳鼻科に通ったことがあった。
タクシーで向かったが、点滴中だった息子は点滴の針を腕に刺したまま、チューブを包帯でまいており、ぜいぜいと喘鳴が聞こえていた。熱も高く、耳が痛くて泣いている。そんな息子を抱っこしているのは、化粧っ気がなく、かなり疲れた顔した私だ。その姿を見て、運転手さんからすごく同情した目で見られ、「大丈夫ですか?」と何度も聞かれた。
その頃は息子の調子が悪く、入退院が続いていたので、私自身も疲れがピークに達していた。一方で、頭は冷静で、「傍から見たら、かなり『かわいそう』と思われる状態だろうな」と思っていた。耳鼻科でもそんな感じで親切にしていただいたが、なんだか自分がみじめというか、「大変な状況だな」と思っていた。

病院に戻ると、K先生が待っていてくれた。先生は笑って「お母さん、今は大変だろうけど、この先きっと『あの頃は大変だったね』と笑って言える時が来るから」と言ってくれた。この言葉を聞いてほっとした気がした。
その後、息子が元気になって「本当に、笑って『あの時は大変だったね』と言えました。ありがとうございます」と先生に話せた時はうれしかった。

ぜんそくが落ち着いてきて、幼稚園を最後に入院することはなくなった。しかし、食物アレルギーで除去食を続ける一方で、アトピー性皮膚炎がひどい状態が続いていた時期があった。その頃は、同じ母親の立場で気持ちを理解してくれるS先生にも助けられた。
S先生は、外来で朝から夕方までずっと診察されていても疲れた顔も見せず、誰に対しても「お待たせしましたね」と優しく対応されていた。息子の状態が良くない時もいつも励ましてくれ、母親である私の精神状態を気に掛けてくれていた。アレルギーに関する疑問などへの返答も的確だった。

アレルギー疾患は、子どもの世話をしている人が、日々のくらしの中で気がついたことが治療方針に反映することも多い。S先生には、生活の中で「こうしたらいいのでは」と思うことを何でも話せたし、それについて医学的にアドバイスをしてもらった上で生活の改善をしていたので、何でも話せるS先生はとても頼りになった。
私にも経験があるが、医師の中には、薬の名前を聞いても教えてくれなかったり、こちらの不安に対応してくれなかったりする人もいる。そういう医師だと、患者側も信頼できないものだ。結局は、医師と患者も人と人。信頼関係を築けることが大事なのだと思う。患者側も、しっかり医師に質問をして、真摯に答えてくれる方なのかどうかを見極めていく必要がある。

私は、信頼する医師に出会えて良かったし、ラッキーだったのだとも思う。もし、2人の先生がいなかったら、もっと辛い日々を送っていたかもしれない。アレルギー疾患は大変だったが、自分の疑問や不安を解消してくれたり、力になってくれたりした先生方に助けられて、息子は成長できたと感謝している。

編集・文:神代裕子 イラスト:二木ちかこ

profile

篠澤真喜子(しのざわまきこ)

娘(26歳)と息子(23歳)の母。乳児のころから食物アレルギーとアトピー性皮膚炎とぜんそくを患っていた息子を育て上げた経験を持つ。その経験を生かして、エフコープの店舗で年4回開催される「食物アレルギー交流会」などで、アレルギーっ子ママの先輩として、今悩んでいるお母さんたちのサポートなどを行っている。

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