コラム

不良行為が止まない高校生・・・改善する方法は?

2018年10月06日

より良い親子関係をつくるためのプログラム「アクティブ・ペアレンティング」のトレーナー・野口紀子さんが、子育てが楽しくなる話を綴ります。


 

「高校生の息子の不良行為が止まず、学校からもしょっちゅう呼び出しがかかるので困っている」と言うお母さん・Aさんが相談に来られました。
家に友だちを呼んでは部屋で酒盛りをする、外出すれば夜中過ぎに15kmの距離を「迎えに来い」と呼びつけるといった状態だそうです。
Aさんは、「さんざん怒ってきた挙句、この状態なので、さらに怒ると殴られそうで怖い。放っておいてはいけないと思うが、何をどこから手を付けたら良いのかわからない」と言います。

親は、子どもの不良行為を何とかして止めさせようと焦ります。しかし、このような不良行為は「親にもっと構ってほしい」「親からの不必要な干渉から逃れたい」といった、子どもが本来目的としていることが”親を困らせる行為”として出たもの。そもそもの原因は、親子関係の悪さなのです。
ですから、子どもの行為そのものを正そうとするよりも、親子関係を改善することが適切で根本的な治療ということになります。段階をクリアしながら、根気よく取り組んでいきましょう。

◎第1段階
最初にこのお母さんにお願いしたのは、子どもの悪い行動には目をつむることでした。一般的には「悪いことはきっちり怒る」のが正しい行動なのですが、さんざん怒っても良くならなかったのですから、これ以上怒っても改善は期待できません。もっと怒ればもっと反抗がひどくなります。ですから、ここはとりあえず目をつむってください。

その上で、まずは「おはよう」や「おやすみ」といったあいさつからです。にこやかに声を掛けましょう。相手がふてくされていても、反抗的でも、めげずにあいさつと「ニコッ」を繰り返します。
その次にいいところを一言二言言います。「今日も元気で良かった」「ヘアスタイルかっこいいね」などでいいでしょう。悪いところが目についても、それは決して言葉に出してはいけません。

子どもも始めはあいさつを返さなかったり、いいところを言っても「フンっ!」という態度だったりするかもしれませんが、少しずつあいさつを返す、ニタっとするなどの変化が起こればしめたものです!継続しつつ次の段階へ行きましょう。

◎第2段階
次は子どもの好きそうなことで誘ってみます。好物を買ってきて「一緒に食べない?」といったことで構いません。断られたら「じゃあ、あなたの分はここに置いておくね」とさらりと言っておきましょう。決して「せっかく買ってきたのに」といったイヤミなどを言わないこと。
「テレビで○○があるから一緒に見ない?」など、やりやすいことからで大丈夫。コツは「優しく声をかける」「断られてもめげない」「一緒にする行動は楽しく」の3点です。

◎第3段階
それをクリアしたら、かける言葉を少しずつ増やしていきます。「学校はどう?」「今度の休みは何をしようと思っているの?」など、いずれも質問攻めにならないようにさらりと言うのがコツです。返答がなくても気にしません。「話しかけること」が目的です。それだけで、十分「あなたに関心があるよ」というアピールになっています。

このようなことを続けていて、もし、子どもさんが話し出したら、チャンス到来! まず、親は口を閉じましょう。子どもの話にしっかりと耳を傾けるのです。ひたすら「へえ~」「なるほどね」と、頷きながら聞きます。ここが一番肝心なところです。この時とばかり親が話し始めると、関係の悪さはまた元に戻ってしまいます。ひたすら聞いてくださいね。

◎第4段階
一緒に行動したり会話が増えたりしてきたら、関係が良くなってきた証拠です。そこまでいけば、困った行為を少しずつ修正してもらいましょう。その際には、短く的確に伝えるのがコツです。
例えば「友だちが家に来るのはいいけれど、未成年だから酒とたばこは無しよ」「翌日の仕事を考えてお母さんは夜11時には寝てるの。迎えが欲しい場合は10時までに連絡してね」といった具合です。こういった話をする場合でも、「良い関係づくり」の努力は怠りなく行ってくださいね。

Aさんの場合、努力が実って、3週間ほどで息子さんの不良行為はなくなりました。一緒に不良行為をしていた仲間が次々と学校をやめていく中、無事に高校を卒業して就職。「家計の一部を担ってくれるほど頼もしくなった」とお母さんは涙を流して喜んでいました。

編集:神代裕子 イラスト:ムツロマサコ

profile

野口紀子(のぐちのりこ)さん
心理学をベースに、さまざまな考え方や技法を取り入れて、より良い親子関係をつくるためのプログラム「アクティブ・ペアレンティング」のトレーナー。25年間で延べ5000人以上の親御さんたちに子どもとの接し方などを伝えている。自身も3人の子どもの母。親子関係・人間関係の悩みに寄り添って改善する「トータルファミリーカウンセリング」を開設。「NPO法人ペアレント・スキルアップ福岡」の理事。

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