コラム

アレルギーっ子の子育て 第3回:人の温かさにふれた日

2018年10月24日

小麦と卵の食物アレルギーとアトピー性皮膚炎にぜんそく。3つのアレルギー症状を抱えた息子を育てあげたお母さんの奮闘記と先輩ママとしてのアドバイスです。


 

食物アレルギーがある子育て中、辛いこともあったけれど、人から助けてもらったこともたくさんあった。

息子が2歳の時のこと。同居している義父母が旅行に行き、夫が出張の日があった。日頃、人を呼ぶことができなかったから、娘の幼稚園の友だち家族を呼んで一緒にご飯を食べた。子どもたちも、いつもと違ってお客さんが来ていることにとても興奮して、楽しそうにしていた。普段なら息子から目を離さない私も、気の緩みもあって、ゆっくり友だちと話していた。

すると、2階で遊んでいた娘が、「弟がチョコクッキーをまちがって食べた!!」と大声で言いながらリビングに飛び込んできた。
普段から「知らないお菓子を勝手に食べたら具合が悪くなるからだめだよ」と言い聞かせていたこともあり、日頃は私の許可なしでは絶対食べないはずなのに、お友だちが持って来ていたお菓子を食べたのだ。

息子は小麦アレルギーがひどいので、小指の先ほどのかけらだったとしても、危険だと思った。最初に出たのはぜんそくの症状。すぐに吸入をした。顔も赤くなってきて、ぐったりしてきた。

「病院に連れて行かないとだめだ!」と思い、当時5歳だった娘を友だち家族に任せ、息子を車に乗せてかかりつけの病院の救急外来に向かった。
「こんな時は救急車を呼んだ方がいい」と先生から後から注意されたことを今でも覚えている。

病院に着くころには、息子の体は全身真っ赤になっていた。
「クッキーをひと口食べただけでもこんな症状が出るのだ」とあらためて思った。

「私が目を話した隙にこんなことになってしまって、すみません…」。
泣きそうになりながら救急の先生にそう言う私に、先生は優しく「こんなことは普通にあることですから。お母さん、自分を責めないでください」と言ってくれた。
そんなふうに言ってもらったものの、「夫と義父母がいない時にこんなことになってしまった」と情けない気持ちでいっぱいだった。

幸いなことに、吸入や薬でアレルギー症状も落ち着いて、入院することなく帰ることができた。

具合が悪くて泣いていた息子も元気になってくれた。
家に帰って友だちの家に預けた娘を迎えに行こうと連絡したら、友だちが娘を自宅に連れて帰ってくれていた。
「今日はうちに泊めて、明日そのまま幼稚園バスに乗せるよ」。
そう言ってくれる友だちの言葉に甘えて、娘はお泊りをさせてもらった。

精いっぱい気を付けていたけれど、こんなこともあるんだとアレルギーの恐ろしさを実感した。

誰もいない自宅に息子と二人で帰り、友だちの親切な対応や病院での医師や看護師からの励ましといった人の温かさにいっぱいふれて「悪いことばかりではなかったなあ」と怒涛の一日の疲れがゆっくりとけていくようだった。
一時はどうなるかと思ったが、息子の何もなかったかのような笑顔を見て、安心して眠りにつくことができた。

編集:神代裕子 イラスト:二木ちかこ

profile

篠澤真喜子(しのざわまきこ)

娘(26歳)と息子(23歳)の母。乳児のころから食物アレルギーとアトピー性皮膚炎とぜんそくを患っていた息子を育て上げた経験を持つ。その経験を生かして、エフコープの店舗で年4回開催される「食物アレルギー交流会」などで、アレルギーっ子ママの先輩として、今悩んでいるお母さんたちのサポートなどを行っている。

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