コラム

中学生の困った問題は二度と起こさせないよう、よく話し合いましょう

2018年08月04日

より良い親子関係をつくるためのプログラム「アクティブ・ペアレンティング」のトレーナー・野口紀子さんが、子育てが楽しくなる話を綴ります。


 

娘が中学2年生の時、午後7時になっても帰ってこないのでかなり心配したことがありました。冬場だったので辺りはとっくに暗く、学校の下校時刻を随分過ぎています。いつも一緒に帰っているAちゃんのお母さんに電話してみると、Aちゃんもまだ帰っていないと言います。そこで、通学路をたどりながら学校まで行ってみることにしました。家から300メートルくらいのところで、座り込んでいる人影が…。娘とAちゃんでした。

「心配したのよ。とにかく無事で良かった」と言いながら、私はわが家の方向とは反対のAちゃんの家に向かって歩き出しました。
「あれ?おばちゃん、どこにいくの?」と、慌てるAちゃん。
「あなたのおうちに行くのよ。こんなことがあっては困るから、あなたのおかあさんともよく話をしておかないと…」
「えっ?いいよ、そんなこと、おばちゃん、いいってば!」
Aちゃんは私を引き留めようとしましたが、そこからほんの20メートルくらい先にあるAちゃんの家へすたすたと歩きました。

Aちゃんの家の玄関先で、4人で話し合いです。
「二人が、話しが尽きなくて離れ難いのはよくわかる。話をすることは悪いことではない。ただ、帰ってくるはずの時刻になっても帰らない、どこで何をしているのかがわからない、それで、私たち親が心配になる、というところが問題なの。二人で、お母さんたちが心配しない方法を考えてもらえないかしら?」

急に言われても、と子どもたちは少し戸惑っている様子です。それで、ヒントを与えてみました。
「例えば、今日はどこで話をして帰るから何時くらいになると予め言っておくとか、どちらかの家に寄って電話をかけるとか(現代のように携帯電話がない時代でした)、いったんそれぞれの家に帰ってから会うようにするとか…」。
二人は顔を見合わせていましたが、何となく頷きました。「方法は二人でよく考えてほしいの。どうするかが決まったら知らせてね」と言って、娘と一緒に帰りました。

さて、翌日娘が言うには、「お母さん、Aちゃんがお母さんのことすごく怖がってたよ」と。そうですね。ちっとも怒ってなどいないのですが、話し合いに慣れていない子には、このように問題にきちんと向き合い、解決までの次なる行動を求める大人の姿勢(態度)は、確かに恐怖を与えてしまうのかもしれません。

今は携帯電話がある時代にはなりましたが、今もこのような出来事は、何かしら起きていることでしょう。
その時に、「あんた、何しているの!さっさと帰って来なさい!」とか「今度遅かったら家に入れさせないよ!」など、怒鳴ったり怒ったりして終わり、となってはいませんか?

問題に対して何の決め事もせずに怒るだけでは、子どもの側にすれば「親は、怒らせておけば終わる」ということになります。問題の解決には全くなりません。見方を変えれば「怒る」というのは「子どもとよく話し合う手間を省いてしまっている」ようにも思います。

困った問題は二度と起こさせないようにするために、しっかりと話し合う必要があります。中学生くらいになると思考も言葉もしっかりしてくるので、話し合いは子どもの自尊心を高める上でもとても大事です。

ポイントは
①子どもの行動の問題点を指摘する(問題点と問題ではない点をきちんと分ける)
②こちらの心配を伝える
③子どもも満足し、大人も心配しなくてすむ方法を探る(解決のための選択肢を与える)
の3点です。

子どもたち自身の意見をしっかり求めましょう。中学生ともなれば、自分たちで考え、律することができる年齢です。話し合いをすると親も子どももお互いに誇らしさがアップします。

このように話し合いをすることで、ルールの基本的な意味、つまり、「ルールというのは決して押し付けられるものではなく、相手を尊重し、気持ちを理解することでお互いが気持ちよく生活するための方法である」ということを学ぶのです。ぜひご家庭での話し合いを大事にしてください。

編集:神代裕子 イラスト:ムツロマサコ

profile

野口紀子(のぐちのりこ)さん
心理学をベースに、さまざまな考え方や技法を取り入れて、より良い親子関係をつくるためのプログラム「アクティブ・ペアレンティング」のトレーナー。25年間で延べ5000人以上の親御さんたちに子どもとの接し方などを伝えている。自身も3人の子どもの母。親子関係・人間関係の悩みに寄り添って改善する「トータルファミリーカウンセリング」を開設。「NPO法人ペアレント・スキルアップ福岡」の理事。

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