コラム

5歳と3歳、きょうだいげんかを解決するシンプルな方法

2018年06月13日

より良い親子関係をつくるためのプログラム「アクティブ・ペアレンティング」のトレーナー・野口紀子さんが、子育てが楽しくなる話を綴ります。


 

「このままでは将来子どもがとんでもない不良になるのではないかと不安でたまりません!!」と、青ざめた顔で相談に来られたのは、3歳と5歳の男の子のお母さん・Yさんでした。

お話を聞くと、5歳の兄が3歳の弟にひどい攻撃をする。
顔を腫らすほど手を上げることもあるらしい。
激しいのでお母さんとしては兄を怒る。
兄は険しい顔つきで、お母さんにも「ばか!」「クソばばあ!」と怒鳴る。
毎日がその繰り返しだというのです。

わずか5歳とはいえ、男の子の力は強いので、お母さんはたじたじとなりますよね。そして将来への不安ももっともです。

お母さんは子育てに必死になっているので、渦中にあると見えにくいのですが、これはおにいちゃんの「嫉妬」が原因であると思われ、弟や妹がいる場合によく見られる現象です。

弟や妹ができたことで、上の子がおねしょなどの赤ちゃん返りをしたり、自分の頭を打ち付けるなどの自傷行為を起こしたりすることもありますが、下の子への暴力に向かうこともあります。

「嫉妬」は一般的には「妬み、嫉み」の悪い感情、持ってはいけない感情のように思われがちですが、人間誰しもが当たり前に持っている感情です。「嫉妬」を心理学的に説明すると「関係を第三者に奪われる不安」です。

このおにいちゃんの場合、5歳という年齢が「嫉妬」という感情を押し隠さずに単純に態度で表しているという点ではむしろ感謝をしたいところです。この年齢で感情を押し隠してしまうと、年齢が上がっていくにしたがって感情はより複雑に見えにくくなっていき、将来的には重篤な精神的、肉体的な病になっていくこともあるからです。

さて、ではその対応はどのようにしたらいいでしょうか?

「嫉妬」であることがわかったなら、対応もわかりますね。

つまり、おにいちゃんにしてみれば「お母さんとの関係を弟に奪われそうで、ぼくは不安なんだ!」と言っているのですから、「弟がいてもあなたを愛してる!あなたとの関係は今まで通りしっかりあるよ!大丈夫!」ということを態度と言葉で示してあげれば良いのです。

具体的にYさんには、以下のようなことをお願いしました。
おにいちゃんが弟をいじめた時は弟を「よしよし」してあげて、おにいちゃんの方にも「腹が立ったのね」などと言いながら「よしよし」してあげること。
決して怒らないでおにいちゃんの肩も、弟の肩も持たないこと。
何でもない時に、弟がいないところでおにいちゃんにたっぷり「スキスキ」や「抱っこ」をしてあげること。「頑張ってるね」や「○○してくれてありがとう」などの言葉をかけること。
おにいちゃんの行動をそのまま言葉で言ってあげる(□□で遊んでるのね、△△を見てるのね、などささいなことでOK)。

それから3週間。Yさんは笑顔で血色も良くなり、こんな言葉が。「弟にとてもやさしいおにいちゃんになって、お手伝いも良くしてくれるんです。本当に将来が楽しみでたまりません!!」

編集:神代裕子 イラスト:ムツロマサコ

profile

野口紀子(のぐちのりこ)さん
心理学をベースに、さまざまな考え方や技法を取り入れて、より良い親子関係をつくるためのプログラム「アクティブ・ペアレンティング」のトレーナー。25年間で延べ5000人以上の親御さんたちに子どもとの接し方などを伝えている。自身も3人の子どもの母。親子関係・人間関係の悩みに寄り添って改善する「トータルファミリーカウンセリング」を開設。「NPO法人ペアレント・スキルアップ福岡」の理事。

カテゴリー

ページトップへ