福岡県中部に位置する飯塚市。筑豊地方最大の人口を誇り、明治中期から昭和にかけて、炭鉱町として発展した地域でもあります。町のあちこちには、今なお当時の面影が点在。今回の「ぐるぐるエフコープ」は、そんな飯塚市内を訪ねました。
ポコッ、ポコッ、ポコッと、3つの峰をもつこの山は、一見すると小高い丘のようです。しかしこれは、炭鉱で採掘をした際に発生する捨石(ボタ)を集積したもの。ここにボタを集めていくにつれて、山のように大きくなり、「ボタ山」と呼ばれるようになりました。炭鉱が稼動していた時代は、ボタで赤茶色に染まり、植物は何も生えていませんでした。しかし、写真でもわかるように、今では青々とした山に変化! 地元の方のお話によると、20年程前から木が生えてきたのだそうです。
ボタ山から南に位置する平垣地区。そこに忽然と、レンガ造りのどっしりとした建物が現れます。 これは、旧三菱炭鉱の斜杭巻き上げ機台座。その上部に設置された巻き上げ機から、斜坑にロープを架け、石炭や作業員を輸送していたものです。筑豊では、現在も斜杭の巻き上げ台座は各所に残っていますが、ここで紹介する巻き上げ台座は、筑豊で最大級だそう。その高さは12メートル。飯塚市内の象徴的な存在です。
ところで、みなさんは、伊藤伝右衛門(1860〜1947年)という方はご存知ですか? この方は、筑豊の炭鉱王として知られている、飯塚の実業家。貧しい家に生まれ、幼いころは相当な苦労をしたそうです。しかし、明治の中期に炭鉱経営に成功し、巨万の富を築きました。衆議院議員も務め、地元に女学校をつくるための寄付をしたり育英会を設立したりするなど、人柄も含めて地元からの信頼がとても厚い方だったそうです。飯塚市は、伝右衛門が生前暮らした自宅を、2007年4月から一般公開。多くの観光客で賑わっています。
ここは、2006年1月に飯塚市有形文化財に指定された伝右衛門の本邸(ちなみに福岡市薬院と大分県別府市の山の手にも別邸を所有していたとのこと)。明治期に建てられたものです。四つの居住棟と三つの土蔵を持ち、池をあしらった広〜い回遊式庭園を持つ近代和風住宅です。敷地面積は、約2,300坪! 延床面積は、約300坪! その広さに圧倒され、思わずため息が出てしまいます。
玄関に入ると、左手には洋風の応接間あります。当時はまだ珍しかった菱形のステンドグラスが施されており、モダンな雰囲気をかもしだしていました。また、九州初の水洗式トイレを設置したことでも有名です。館内は、明治時代に建てられたとは思えないほど手入れが行き届いており、当時の暮らしを垣間見ることができました。残念ながら館内の撮影は不可だったため、写真は外観のみのご紹介になりますが、ほとんどの部屋から庭を眺めることができました。特に、二階の座敷から眺めた風景は見事なものです。この縁側でお茶でもしたら気分いいだろうなぁ・・・。そんな思いを馳せてしまいました。
伝右衛門と言えば、ニ番目の妻である歌人の柳原白蓮(びゃくれん)との離婚劇でもその名を知られています。詳しい内容は割愛させていただきますが、著名な歌人が炭鉱王を捨てて、年下の新聞記者と恋に落ちるというスキャンダルは、大正時代を生きる人々にとって、衝撃的なエピソードだったことでしょう。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。館内のガイドさんから、建物の案内はもちろん、この二人についてかなり濃密なお話を聞くことができますよ。
実は飯塚は、知る人ぞ知る、筑豊のラーメンどころ。「筑豊ラーメン街道」と呼ばれている道沿いにある「らーめん翔山」では、伝右衛門と白蓮にちなんだラーメンを味わうことができます。その名も「でんえもんらーめん」と「びゃくれんらーめん」。「飯塚ならではのラーメンを提供したい」という店主の思いから、旧伊藤邸が公開されることに先駆けて、二人の名前をモチーフにしたラーメンを思い立ったそうです。
「でんえもんらーめん」は、黒胡麻風味のピリ辛坦々麺。表面にも黒っぽいラー油が加えられており、さながら炭鉱を思わせる盛り付け。スープも黒っぽく、食べ応えのある一品です。一方の「びゃくれんらーめん」は、白蓮の名前から、白菜やレンコン、水菜などをふんだんにのせて、スープは中華豚骨風味の薄肌色。あっさりとした味わいに仕上げていました。
飯塚といえば、「嘉穂劇場」がある町としても知られています。1931年(昭和6年)の建造で、当時の観客は、石炭炭鉱の労働者とその家族が中心。大衆演劇や歌手の公演などで賑わいを見せました。現在では、ミュージシャンのライブイベントなども開催。そのレトロな雰囲気が人気となり、若い世代の方にもなじみのある劇場として、人々に愛され続けています。
古き良き日本の文化を、今も守り続けている飯塚市。エフコープも、「生協らしさ」を守り続け、これからも地域のみなさんに親しまれる生協でありたいと思います。
福岡県の隅々まで、りんごマークのトラックでぐるぐる走り、組合員の玄関先にまで食卓の安全・安心をお届けしているエフコープ。このコーナーでは、その時期「福岡」を象徴する風景のなかにある「エフコープ」をご紹介していきます。










